PiPiちゃんとの約束
(草一)
PiPiちゃん
「なに? オッチャン!」
オッチャンとは、軽いジャブを食らったな。どこで、そんな言葉を?
「わたしに、命を吹き込んでくれた、お人形作家さんは、カンサイのひと。違う呼び方が、いい?」
19世紀英国の事務所のイメージで、僕は先生、君はメイドさんということにしよう。
「いい年して、おままごとみたい」
「PiPiは、先生に『現実作り』をさせるために来たんだよ。先生の『現実作り』はなに? 何でもいいから、答えて」
今日中に200頁の文献を読んで、それが終わったらPiPiを作ってくれたお人形作家の先生にお礼のお手紙を書くというのでもいいかい?
「PiPiとの最初の約束は重いよ。守れないなら、PiPiはトウキョウでの命が保てないんだよ」
(独白)
200頁はどんなに急いでも10時間以上かかる。やめとくか。
(草一、決心して)
…いや、PiPiちゃん、それで約束する。
「じゃ、『現実作り』に設定をするよ。PiPiを良い子に育てたければ、約束は必ずまもってね」
それが終ったら、君を作ってくれたお人形作家さんにお手紙を書くよ。あの方は、神秘的な天使製造人、僕は敬愛している。
「はい。それが今日のお仕事ですね。それでは先生、よろしくお願いします」