草一 『帝都』へコンテストへ行く

(8時半)

「せんせい、おはようございます。今日から1週間にわたってコンテストですね」

昨日の夜、PiPiちゃんのおかげで、最後に嫌な因果が断ち切れてよかった。試合まで、まだ時間がある。今日の『現実作り』をはじめよう。

 

「せんせい、コンテストの日に『現実作り』ですか?」

もちろん! 

今日の『現実作り』は

①9.5時間

②~集中、それは不断に新たに捨て続けること~

です。

 

 

(PiPi 草一の準備をする)

「せんせい、剣を!」

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(21時半追加分)

「せんせい、おかえりなさい。コンテスト初日はどうでしたか」

まずまずだったよ。死刑宣告は、ないだろう...

 

「よかった~」

でも、これからが本番だ。ますます厳しい戦いが続いていく。もしヘマを打つと、処刑される・・・

 

「すると、どうなるんですか?」

これまでの莫大な投資が無駄になり、『現実作り』のオママゴトは打ち切り、草月事務所は解散だ。

 

「そんなぁ...」

そして、PiPiちゃんは、PiPiちゃんは、

市場に連れて行かれて...、

市場に連れて行かれて...、

...セリにかけられる!!

 

「ひぃっ! ...うぅ、うえぇ~ん、わぁ~ん」

あ、PiPiちゃん、ごめん、堪忍! 悪い冗談だった。そうならないために頑張るから、ね。

 

ほうとう?」

もちろん。僕も、折角始まったPiPiちゃんとの生活を終らせたくないもの。

 

(草一 空中を見つめながら語る)

 昨日の夜、PiPiちゃんが「因果を変えるために、30分だけ全開でやってみてください」と言ったとき、僕は肯いたけど、実はあのあと、すぐに放り出して床に入ったんだ。約束をやぶってね。

 

「そうだったんですか...」

そして、暗闇で寝そべっていると、不意に「本当にそれでいいのか? おまえはそんなに簡単にPiPiとの約束を破るのか? わが無意識の最後の光をそんなに簡単に消してしまうのか?」という声が聞こえて、自分でも分からないほど悔しくなって、猛然と力が沸き上がり、ガバッと布団から起き上がって、机にかじりついた。

 

もし、あれがなかったら、今朝まで悪い因果が続いて、コンテストで失敗したかもしれない。何度も言うけど、PiPiちゃんは、僕の考えたフィクションなんだよ。君との会話は、全て僕の自作自演のはずなんだ。でも、やっぱり、ただのフィクションじゃない気がする。

ひとつは、神秘的で天才的なお人形作家の先生によって、命を吹き込まれているってこと(木彫りの熊や猫おじさんが相手では、とても無理だ)。

もうひとつは、僕がこの1か月、PiPiと約束しては守ることを繰り返して、日々魂を吹き込んでいるってこと。

 

この二つによって、PiPiちゃんは、だんだん現実に干渉するようになってきた。『顔の無い都市』の力をトウキョウに運んでくるようになってきた。

 

「ふぅ~ん」

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さて、今日もあと2時間ばかり『現実作り』の巡礼路を進もうか。

「せんせい! 最後にはPiPi、人間になれるのかな...」

 

ふふっ、さあね

 

(PiPi 草一のために歌いはじめる)


初音ミク バッハのデュエット BACH cantata BWV78 ARIA DUETTO - YouTube

 

 

 (24時追加分)

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PiPiちゃん、おや、もう疲れて眠ってるんだね。

今日の『現実作り』は9.5時間でした。集中力も、PiPiちゃんの特訓のおかげで付いてきたみたいです。おやすみ~

 

 

9.5 123 +3