新しい出発
(草一の独白)
自室のうた
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自室をとり囲む6面の壁は
主の心の空白に入り込んだ欲や不安を吸い込んで、黒にも白にも灰にもピンクにも染まり
やがて主を飲み込もうとする
日々の幽かな退廃が
少しずつ壁を染め
気づけば、容易に落ちぬまだらの垢となっている
モンスターと化した部屋の壁は
投影された自身の内面そのもの
壁に囲まれたその領域は『顔の無い都市』に似ている
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壁に貼られた無数のポスターは、さながら壁のモンスター化を抑える現代の護符である。部屋の中心に置かれたPiPiも、仏像やマリア像の役割を果たしているのかもしれない。心が『顔の無い都市』に飲み込まれるのを抑える封印...。