夏期休業1
PiPiちゃん、おはよう。今日から夏休み中の『現実作り』は、全て8時間で設定します。何の変哲も無い平凡な巡礼路が続くと思うけど、よろしく。
「はーい。それでは、約束から契約に昇格させましょう。PiPiとの契約は必ず守ってよね、よね。
わたしの命は、せんせいが契約を守ってくれるかどうかにかかっています。PiPiのこと、しっかり守ってね」
(14時追加分)
PiPiちゃん、テレビで何をみてるの?
「『顔の無い都市』でよく見てた番組だよ。子供達のためにハイフェッツおじさんが演奏してくれてるの」
Heifetz Mendelssohn Violin Concerto "They shall ...
こ、これは...。PiPiちゃん、うまい、上手すぎるよ
「うふふっ、ハイフェッツおじさんのバイオリンは、あの悪魔に魂を売ったと言われる伝説の鬼神パガニーニと同じ、グァルネリウスなんだよ」
へえ~、そうなんだ。
(18時追加分)
昨日から夏休みに入り怠惰になっている。まだ3時間しか進んでない。
「せんせいはやる気のない時に限って、ロバみたいに頑固になって、馬鹿丁寧に作業する癖があります。
お決まりの事務なんて、もっとパッパッと片付けちゃえばいいんです」
試してみるよ。
(24時半追加)
PiPiちゃん、今日はまだ5時間しか『現実作り』ができてない。
「もう寝ましょう。PiPiは夕食抜きで我慢しますから、せめて生活リズムだけは維持しましょう。せんせいは、きっとコンクールの疲れがまだとれていないんですよ」
PiPiちゃんは、大丈夫か?
「コンクールの前に、たくさん約束守ってくれた蓄えがあるから、へっちゃらです」
(草一帰宅する。事務所にはPiPiがひとり)
「あ~あ、お腹空いたなあ」
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