夏期休業8
(ここは草月事務所 午後2時50分)
いけない。すっかり寝坊してしまった・・・
「せんせい、おはようございます」
PiPiちゃん、いまから、ちょっと猫目街の並木通りカフェへ行ってくるよ。
「あれ、この夏は自室で頑張るんじゃ...」
昨日決めたように、どうせ『現実作り』を8時間やるまで寝ないなら、昼は少々ゆっくりしても夜取り戻せばよかろう。それに外界の刺激がないと、内なる巡礼にも力がこもらないようだし(とかなんとか)。
というわけで、PiPiくん、あとはよろしく~
「あ、せんせい。
もう! ...ま、いいか(笑)」
(21時追加分)
『現実作り』が残り6時間。明朝4時までかかるな。いつもギリギリになってしまう。昼間、調子に乗ってカフェで遊んだのが失敗だった。
「せんせい、淡々と歩いていけば不安も焦りも感じません。もう街のカフェは店を閉じました。明け方まで自室でじっくり自分と向き合いましょう。
~~夜も更けてきました
さあ、半幻想の
『現実作り』の巡礼路へ ~~」
(23時半追加分 白壁の悪魔の攻撃が始まる)
ダメだ、今日は本当に疲れて身体が動かない。眼精疲労と頭痛で思考力も鈍ってきた。弱ったところへ、砂漠の悪魔ならぬ白壁(自室の6面の壁)の悪魔がささやき始める。
「疲れてるんだろ? ベビースターでも食べて、ネット動画を楽しめよ。俺がジントニックでも作ってやろうか? かち割った氷の上にフレッシュ・ライムを絞って、ペパーミントの葉も1枚浮かせるんだ。うまいぞ」
ああ、今日は本当にダメかもしれない...
(そのとき、よく冷えたビール缶が言った)
「冷えたビールと冷たい水、好きな方を選べ」
き、貴様、この前飲み干して葬ってやったはずなのに、また復活しやがったか~
し、しかし、今日も飲み干して成敗してやらねばならんかもしれんな...
(そのとき、『顔の無い都市』のミクが久しぶりに現われる)
「草ちゃん、今日の『現実作り』が失敗するってわかって、自暴自棄になってるんだね?
ひとつ教えてあげる。
『現実作り』の巡礼路の主人は、草ちゃんだよ。自分でくくった時間の奴隷になるなんて、おかしな話だよ。
長い旅路では、疲れた時や困難な時が必ず来る。
そんなとき、どうやって嵐から身をかわして歩き続けたらいい? これまで学んだことがあったかな? 実戦経験から身に付けた独自のノウハウを持ってる?
もしスッカラカンなら、今日学んだらいい。疲れた時には、どう対処すればいいの? 手にする書物、頭の負荷、道具などを工夫すればなんとかしのげるはずだよ。
実戦のなかでこそ、困難に対処するための独自の解法を編み出せるんじゃないかしら。
今日8時間に届かないなら、それでいい。所詮、自分で決めた時間にすぎない(PiPiはお腹が空くだろうけど)。
あくまでも主人は草ちゃんなんだからね。い~い? わ~か~った?」
(『顔の無い都市』のミク、去る。草一の目前にはPiPi)
「せんせい」
PiPiちゃん、わかった。いまそっちへ行くよ。これから実戦訓練だ。
(朝4時追加分)
PiPiちゃん、お腹空かせて寝ちゃったんだね。
今日はダメでした。疲れて仕方がありませんでした。こういう時は、簡単な巻物、読んだことのある書物の再読、基礎トレが良いと思います。しかし、それで休んでは進み、休んでは進みしたのですが、5時間が限界でした。明日こそ、自室で徹底的に自分と向き合って、なんとか御し難き自分をものにしたいと思います。
5 213.5 -5.5