新たな戦いの開始

 PiPiちゃん、おはよう。コンテストも無事終り、今日から、来たるべき最終決戦の準備が開始される。

「なにをするんですか?」

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 まあ、いままでと同じ『現実作り』なんだけどね。

「それじゃあ、今日から『現実作り』を10時間に増やしますか?」

 

 いや、PiPiちゃん、それはまだ早い。

「ええー、なんでなんで?」

 

 PiPiちゃん、空想は自由にできるよね。座ったままでも、ケーキを空想できるよね。

「うん。わぁ、おいしそう」

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 ふふっ。同じように、自分がロンドンの貿易会社でバリバリ働くやり手事務員になったように想像してみよう。

「PiPi、よくわからないけど、朝から晩までせっせと12時間くらい働くとこなら想像できるよ」

 

 じゃあ、今度は、朝からダラダラとテレビを見ながら、「よーし、明日から一流ビジネスマンのように毎日12時間ずつ作業するぞ」と空想してみよう。

「はい。空想は自由だから、寝そべってポテチ食べながらできます。バリバリ...」

 

    しかし、その人が翌日から12時間仕事する一流ビジネスマンになることは不可能だ

「なんでなんで~? 空想は自由にできるのに!」

 

 PiPiちゃん、本当のイマジネーションは、打出の小槌じゃない。念じただけで、タダで変われるような魔法は存在しない。空想で出来た光の楔(くさび)を、この現実のトウキョウに打ち込むには、それなりの方法と苦労が必要なんだよ。

 毎日12時間勉強する自分を想像するだけなら、1秒あればできる。でも、その人が本当に今の因果から抜け出して、実際に12時間勉強できるようになるには、長い長い努力が必要なんだ。

 

「せんせいは、この夏休みに勉強時間を6時間から8時間まで増やすのに1か月もかかったもんね」

 そうなんだ。まあ、僕はダメな弱い人間だから、時間がかかっちゃったけど。いずれにしても、かけ声や空想だけで、怠惰な自分が次の瞬間からバリバリ働くビジネスマンに変わるなんて、そんな都合のよい魔法はないんだ。

 

「ふぅーん」

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 だから、かけ声はいらない。いきなり大きな光の楔をトウキョウで扱うことはできない。まずは、小さくてもいい。自分に扱える楔を持つんだ。

 

「じゃあ、せんせいは...?」

 いまの僕の力量では、力を抜いてれば毎日6時間。かなり無理してなんとか8時間が精一杯だ。いま10時間に増やしても、2日続けば良いほう。その後でリバウンドして、ドッカーンと連日0時間に陥るのは目に見えてる。『現実作り』は、1日限りのお祭りじゃないから、毎日地味に続けられる時間に設定しなきゃ意味がないんだ。

 

「わかりました。では、せんせいは当面8時間で設定ですね」

 

 うん。実を言うと、昔はもっと酷くて、全く集中できなかった。

 最初は、2時間/日

 次に、 4時間/日

それを何ヶ月もやって、やっと 6時間/日

それを何ヶ月もやって、やっとこの夏に 8時間/日

焦っちゃいけない。自分に無理を言ってはいけない。たとえ失敗しても、明日また再勝負すればいい。大事なのは、もうやめたって言わないこと。2時間でも4時間でも、自分との約束を守ることができたら、自分を誉めてあげるんだ。いまは、僕自身の代わりにPiPiちゃんが誉めてくれるけどね。

 

「なるほどー。PiPiは、せんせいが光の楔をトウキョウに打ち込むの応援してたんですね」

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 さ、おしゃべりはこれくらいにして、今日も8時間の『現実作り』をはじめよう。

「はーい、せんせい、達成できたら、よしよしって頭を撫でて誉めてあげる(笑)」