『帝都』のダイガクインの話をする

「せんせい、何やってるの?」

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 秋からどの講習を受けようか選んでるんだよ。

「『帝都』のダイガクインですか?」

 そうだよ。そこで将来、一人で食べていくための武器を得るんだ。

 

「恐ろしいところなんですよね?」

 うん。最初は300人近い仲間がいるけど、卒業するときには200人くらいしか残らないんだ。毎年50人近い仲間が居なくなる。

 

「ひぇ~。コンテストで処刑されちゃうんですか」

 そうなんだ。仲間のなかには、家族を抱えたまま仕事をやめて来て、2年間頑張ったけど処刑されて、数百万円の借金を背負わされて放り出されてしまう人もいる...。

 

「かわいそう...」

 

 いろいろな人が来ているよ。海外で10年間働いていたひともいるし、今の仕事が飽き足らず一攫千金を狙って来た人もいる。ある女学生は、感受性がとっても強くて、人よりもたくさんのことを考えたために、高校のときに学校に行けなくなって、それで1,2年お休みして、それでもマイペースで高校卒業資格を取り、21歳のときに優秀な大学に入って法律を学んで、いまはダイガクインで弁護士を目指している人もいるんだよ。

「ふーん」

 

 正解の道なんて決まってないんだなって思った。たまたま自分が、世間的な「正解の道」に興味が持てないように生まれついちゃったなら、仕方がない。もう、自分の感性を信じて、自分の道をやってくしかないよね。僕自身というと、大学卒業後は長年外国を漂っていたため、完全にトウキョウのレールから脱落しちゃった。だから、トウキョウでまっとうな就職をすることは不可能。ああそりゃ、結構。資格さえもらえば、あとは自力でなんとかやっていくよ。 

 

「トウキョウを捨てるんですか。PiPiも絶対一緒に連れていってよね!」

もちろん!

 

「孤独?」

ふふっ、僕には『現実作り』があるから…