深夜 PiPiちゃんがお友達を連れてくる
(深夜2時 PiPiちゃんが外出から帰ってくる)
「ただいま~」
PiPiちゃん、こんな遅くにどこへ行ってたの?
「夜の森で木の実を拾ってたんです。さあ、どうぞ」
ありがとう。うーん、森の古い記憶の味がする。ところで、PiPiちゃん、腕に抱いてるその子は?
「夜の森でひとりで遊んでたから、誘ったんだ」
へえ~。どれ、見せて。ふーむ、木製、裏には謎の刻印があるのみで、由来は不明か。どこから来た子だろう。いずれにしろ、フクロウは学問の象徴。ずっと事務所に居てもらおうよ。
「わーい! 先生ありがとう。ところで、せんせい何やってるの?」
さっき、どっさりと書物が届いてね。ダイガクインが始まる前に片付けたい物を整理してるんだ。
「ダイガクインはいつから始まるんですか?」
9月末、ほとんど10月だね。
「随分ゆっくりなんですね」
ダイガクなんて、そんなもんだよ。始まっても、実際に登校する日はほとんどないから、ずっと夏休みみたいなもんだ。
「うふふっ、おもしろーい。じゃあ、来年3月までPiPiと二人で『現実作り』の生活ですね」
まあね
「ふふーん。ねえ、せんせい。PiPi、役に立ってるかな。もっと頑張った方がいいのかな」
ええ? どうしたの急に? 頑張るって、一体何を?
「わからないけど、なんとなく...。わたし、状況にあまえてサボりすぎてるかな。逃げてるのかな」
ハハハ。PiPiちゃん、もっと自分の感受性に自信を持って。PiPiちゃんは、自分の感じたままでいい。それは、自分の感受性を大切にしてるだけで、逃げじゃない。そんなこといったら、僕なんか、もう働くのが大嫌いで、大学を卒業したあと何年も外国で逃げ回ってたことになっちゃうよ。逃げの王者だ。一見逃げているように見えても、自分の感受性を大切にして、必死にそれを守ってきた人は、いざ自分の『現実作り』が見つかったときは、決して逃げないものだよ。だから、大丈夫! マイペースでね。
「ふーん、そっか...」
うん?
「だっこ」
あらあら、PiPiちゃん、急に年齢設定が下がっちゃったね(笑)。