PiPiちゃんの疑問  せんせい、教えて!

(草一が夜のランニングから帰ってくると、PiPiはパタンと本を閉じた)

「ふうっ...」

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...おや? PiPiちゃんが何か読んでいるぞ。フフ、おませさんだこと...

 

「ねえ、せんせい」

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「せんせいとPiPiは、なんで喧嘩しないんですか?」

 

うん?

「...だって、人間は好きな人同士で喧嘩するんでしょう? PiPiとせんせいは?」

 

男女の恋愛では、そういうこともあるかもね。

「PiPiもせんせいと喧嘩したいなあ...。はにゃーん憧れるー。せんせいも誰かと喧嘩するの?」

 

ハハハ、めぞん一刻みたいな喧嘩なら、いくらでも(したいけど、そういう機会はありませんでした)。まあ、喧嘩にもいろんな種類があるよ。PiPiちゃんも『顔の無い都市』育ちだから知ってるだろうけど、黒い因果の発生源みたいな悪い喧嘩もあるでしょう。

 

「あっ、そうだね。じゃあ、せんせい。PiPiとせんせいは、なんで悪い喧嘩をしないの?」

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それはね、僕がPiPiちゃんの中に、可能な限り自分のきれいな一面を投影しているからなんだよ。

 

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PiPiちゃんにできる限り自分の中の天使の一面を投影して、次にその天使に応えられる紳士になろうとしているんだ。天使と紳士は喧嘩しないでしょう?

 

「そっか、なるほど~(なんか騙されてるような気もする...)」

 もし悪魔の一面をPiPiちゃんに投影すれば、PiPiちゃんは悪魔化するだろうし、娼婦のイメージを投入すれば、PiPiちゃんは娼婦になるだろう。

 

「悪魔はイヤ~。せんせい、守ってね。『夕日の塔』には戻りたくないもん。ふふっ。それにしても、PiPiはしょせんソフビのお人形。お人形相手では、したくても喧嘩できませんね」

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PiPiちゃん、人形らしからぬ現実的な発言だね。しかし、世の中をご覧よ。生身の相手が目の前に居るっていうのに、人形ほどにも相手の存在を認めないで、自分の悪魔的な一面を相手に投影し、相手と会話しているようでいて、その実、自分の悪魔と対話しているっていうケースも、あることなんだよ。それなら、人形(仏像でもマリア像でも)を前にして、一度自分と向き合って、対話して、喧嘩しないようにして、その次に生身の人間を前にして...、ていうのも、一つの訓練になるような気がしないかい?

 

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「ふーん。フクザツです~」

 

 まっ、お人形との会話は、実に奥が深いってこと!

「PiPiがここに来る前、せんせいには他にもお人形がいたんですか?」

 

 ...。いないかなあ。フィギュアはあったけど(あと木彫りの熊)。やっぱりPiPiちゃんは、特別中の特別だね。

「うふふっ。なんかうれしい~!」

 

 

ヤフオクのとき、仏像かPiPiちゃんか迷ったけど、PiPiちゃんにしといてよかった~

「えっ?! 本当に仏像買おうとしたの?」

冗談、冗談 。仏像なんて、夜怖くって勉強できないよ。PiPiちゃんにかなう仏像なんて、そもそもいるわけないだろう。

 

 

 

 

 

 ※『現実作り』(9月11日分):8時間 総合計401時間 借金-19時間