猫おじさん 労働者意識に目覚める
(『現実作り』の巡礼路の深い道に草一を残し、巻物を取りに戻るPiPi)
「ただいま。猫おじさん、しっかりお留守番してた?」
「なんじゃ? PiPiか」
「留守番もなにも、ソウイチが出ていったんだから、草月事務所は解散じゃわい...。もう、わしは所員でもなんでもない。何をしようが自由じゃ」
「もう、だらしないわね。よいしょっ、と...」
「じぃ...(半目)」
「猫おじさん?」
「はっ、はい!」
「エサはここに置いておきますからね」
「エサって、どら焼きのことか? わしは三つ星ジュレじゃなきゃ嫌じゃ、嫌じゃ~」
「あら、いいじゃない。今日は藤子・F・不二雄先生の誕生日なんだから」
「いくらドラえもんのファンでも、それと報酬は別じゃ! 草月事務所の労働者として、わしには正当な報酬を受ける権利があるぞ。よし、労働組合結成するからPiPiも入れ! 一緒にストライキに突入して、ソウイチの『現実作り』を断固阻止するぞ!!」
「もう、勝手に巻き込まないで。さっきまで事務所は解散したとか言ってたくせに、急に難しいこと言っちゃって。どこで知恵をつけたのかしら」
「ところで、猫おじさん。いま、足元になにか隠したでしょ? 叱らないから、見せてごらん。めっ!」
「はうっ、なにも隠してなんかおらんよ」
「まったく、失敬な...!」