就寝前の一コマ
PiPiちゃん
「ほーい！」
作戦会議しよう。ミクからの指示で朝型に変えて1週間たった。7日目にしてようやく約束を果たせたよ。すなわち、
１．『現実作り』を午前3時間、午後3時間すること
２．夕食後は作業してはならない。
３．夕食後の自由時間には、黒い小人と『夕日の塔』に隙を見せてはならない。
４．夜10時に就寝
「なるほど。でも、朝5時起床の約束が守れないんですね？」
そうなんだ。
「なぜ？」
僕はここ数年、悪夢を見ることが多くて、それも本当に恐怖とか孤独に関する夢なんだ。冥王星の荒野に立ってる時もあるし、親しい者を失って孤独を感じながら、会社帰りに深夜営業のスーパーで総菜とビールを買ってる夢もある。
「まあ、本当に寂しい…。もしそれが10数年後のせんせいの姿だとしたら、PiPiはその時もずっとせんせいと一緒に居てあげる。PiPiがいつか壊れるときまで、ずーっと一緒にいてあげるからね！」
うっ、PiPiちゃん。ありがとう。PiPiちゃんが壊れる時なんてくるものか。朝起きた時、現実が悪夢の続きのような気がして、目覚めたくない。せめて、甘い空想で悪夢を塗り直してから起きたい。そして、家族が起き出して日常の仮面が世界を覆った時に、やっと起き出すんだ。
「そうでしたか。では、悪夢を見ない方法をミクに聞いてみましょう。それから、朝5時に起きたくなるような、朝5時にしかできない楽しいことを見つけて下さい」
なんだろう。般若心経を写経するか？ ギャーテーギャーテーハラギャーテー、ハラソーギャーテーボージーソワカ（行った者よ、行った者よ。彼岸へと行った者よ。彼岸へと完全に行った者よ。悟りよ。幸あれ）だっけ？ その最重要の呪文以外は、ほとんど意味がわからないから、文字だけ写してもなあ。
「ゲームをしたらどうじゃ？」
そのまま1日中遊んでしまいそうで…。おっと、もう10時半。とにかく寝よう。悪夢を見ませんように。明日は朝5時に起きれますように。
「PiPiがもう少し大人の姿になって、せめて空想の中なりともせんせいに寄り添ってあげられたらよかったのですが…。子供じゃ、せんせいのお相手はできませんね」
「なんじゃ？」
「なら、ボディを取り替えるかね？」
「猫おじさん、また締められたい？」
「ひぃいい～！」
「助けてやろうとしたのに、なぜ叱られるんじゃ」
