最後の『ヌーボー』 届く
「せんせい、今年の『ヌーボー』が届きましたよ~」
お、やっと来たか。
「なぬっ? ボジョレーか?!」
「よいしょっと。今年はいい色合いですね」
去年より1割ほどライトだね。PiPiくん、これは扱いやすいぞ。
「待て、ワシにもよこせ~」
「えっ? 猫おじさん、なに?!」
「『ヌーボー』が届いたんじゃろ?」
「届いたわよ」
「今年の『サンセイドー・ヌーボー』が」
「ガクーッ…」
「まあ、せんせい、早速なにをなさっているんですか?」
最終大戦で最も扱い難い条文の一つが、この魔刑訴法222条1項でね。ここだけは、解読しやすいようにマーキングしてるんだよ。
「いよいよ、人生最後の『サンセイドー・ヌーボー』ですね」
そうだね。もう二度と買うことはあるまい。こいつであと半年厳しい訓練をすれば、来年の今頃はもう最終大戦も終わっているはず。
その時は、あらためてボジョレーで乾杯といこうじゃないか。
(せんせい…。最終大戦に勝利して、本物の草月事務所を開く時、応接室にPiPiを飾ってくれるんだよね。約束よ。PiPiは、これからもずっとず~っと、せんせいを応援してるからね)
来たるべき恐ろしき最終大戦。
訓練はますます厳しさを増し、『現実作り』は佳境へと入っていく。
この者達を待ち受ける運命は如何に。
二人の戦いは今日も続く…
(2014年6月初旬 PiPiちゃんが来たばかりの頃)