PiPiちゃんの妹
「おはようございます。PiPiです。
晩秋は思い出の季節
赤や黄や虫食いの落葉の下
腐葉土のような無意識の地層で
かくれんぼ
せんせい、PiPiがどこに隠れているか探してみませんか?」
お、PiPiちゃん、詩人さんだね。
「ふふっ。さて、またまたPiPiの妹がトウキョウへ派遣されてくるよ。名前はBicerin。かわいいなあ。ビチェリンて、イタリアの冬の飲み物で、エスプレッソ、ホットチョコレート、牛乳を混ぜて作るんだって。PiPi、いいお友達になれそうなんだけどなあ~」
「ソウイチの狭い机のうえに、力のあるドールを2体も置いてみろ。人(形)格のぶつかり合いが起こって、『現実作り』に手が着かなくなるぞ」
「あら、せんせいの度量の小ささが知れますね」
PiPiくん、あのねえ…。でも、猫おじさんがいうことは、確かだ。本当は、地下倉庫にもう一体眠っているんだ。
お人形同士の縄張り争いって、思いのほか強いんだよ。あの子には可愛そうなことをしたなあ…。
「PiPiが、その子の居場所をとっちゃったの…?」
いいや。PiPiちゃんが悪い訳じゃないよ。僕が、自分の技量を超えて、無計画にお人形を招いたのがいけなかったんだ。
だから、今はPiPiちゃんだけいてくれればいい。
「せんせい…」
それに、いまだ無意識層で隠れんぼしてるPiPiちゃんのしっぽを、捕まえられないんだから…
「まあ、いずれ商売繁盛して広い事務所に引越したときは、PiPiの妹をたくさん呼んで賑やかにやったらいいじゃないか」
それもそうですね。
それにしても、天使製造人様は、いつも早朝に出品されるんだけれど、徹夜で作業していらっしゃるのだろうか…。道を究めていらっしゃる方は、やはり違う。僕も『現実作り』の巡礼者として、もう少ししっかりやろう。