最終大戦の会場をあとにして
のべ5日間に渡って死闘を繰り広げた会場を後にするよ…。
最終大戦の『帝都』第一会場では、2000名程のつわものが集いてあらそえり。
競技場(コロシアム)は全10室。各室はリノリウム床の殺風景な大広間なり。そこへ数百の成り上がらんとする者来たりて戦えり。何の因果か。半月草一に割り当てられた『第10室』だけは、他の会議室と異なり絨毯敷きで、まるで和風旅館のロビーのようである。瀟洒な間接照明といえば聞こえはいいが、照度が足らず問題文や六法を読むにはいささか暗い。
ただ、半月の隣は試合棄権者。長机を一人で占有できるのは有利だった。
最終大戦の5日間は、睡眠時間4時間で、特に最後のほうは即身仏にもなりかねない苛酷なものだった。
プッハーッ! 生ビールがうまい季節になりましたね。
これが、旨いんだ。『帝都』アキバハラ名物。門を閉ざしたラーメン食堂の醤油の一品。
ふぅ、ひぃ………。五日間の死闘で、思った以上に身体が蝕まれていたようだ。
もう、帰ろう。
ただいま。
「おう、ソウイチか」
おや、猫おじさん。今日は、やけにフレンドリーな表情ですね。
「では、伯爵風がいいかね?」
なぜ、2枚連続で?!
「それとも、かわいい系がお好みか」
「あるいは、昼寝系がいいかね?」
「ムニャムニャ、スヤスヤ、ウマイウマイ……」
「…………。あら、せんせい。帰っていらしたの? 気づきませんでした。すみません、テヘヘ…」
「うっ…」
「ほっとしたら、なんでだろう…。いやだわ」
「うまくいってると、いいですね……!」