低級魔女との遭遇
(草一 胸をなで下ろし、やや荒い息づかいのまま書物の前に座す)
「せんせい、まるで猛犬に追いかけられて来たみたい。一体、どうなさったんですか?」
『現実作り』の巡礼路の浅い場所で、低級魔女に出くわしたんだ。ここ最近の『現実作り』失敗の主因。だが、今日はかろうじて逃れられた。
「『現実作り』の巡礼路の更に奥深くへ進むためには、欲の灯を消すことが必要です」
PiPiちゃんの言うとおりだ。今後、魔論文の実戦訓練に入る。最低2時間は瞑想状態を維持できなければ、術が成り立たない。
「ここから先の道は、集中力が絶対不可欠になりますね。せんせい」
「わたしに付いてきて...」
「欲望の灯をひとつひとつ、消していくんです」
欲望の灯を消したら、最後になにが残るんだろう...