2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧
24時30分 (草一の独白) 今日は、ダメかもしれん。机にかじりついているが、焦るばかりで作業が手に付かない。形だけ座ってても意味が無い。いっそのこと、今日は諦めて明日から…。 「落ち着いてください。せんせいは、わたしと約束した『現実作り』の失敗…
「ところで、せんせい」 ...、うん? 「今日はあさからボンヤリして、なーんにも手が付いてないみたい」 現実に追われると、やる気を失ってしまうんだ 「では、現実は忘れて『現実作り』をしましょ。いま、午後3時半です。眠るまでに10時間あります。雑務と…
朝5時55分 PiPiちゃん、起きて。レポート終ったよ。作業時間も5時間超えたよ。約束は果たしたよ。 「むにゃ、むにゃ…。あれ、せんせい、今日は諦めてもう眠ったんじゃ…?」 あの後、なぜだか分からないけど、急にとても悔しくなって、どうしてもPiPiちゃん…
午前3時 PiPiとの約束、守れなかった。 堪忍して! 眠くてダメだ 「もう!」 こ、こわい… 大丈夫だよね。まだ飢え死にしないよね? 「大丈夫だけど…、何が失敗の原因だったんですか?」 明日は日曜日だから、まだ大丈夫、まだ大丈夫って、だらだらやってしま…
「せんせい。今日も私と約束しますか?」 では、レポートを作ることと、今日中にあと最低5時間の作業を行うことにしようかな。 (草一の独白) 18時から5時間作業するということは、食事以外は休憩なしで作業に没頭してギリギリか…。ちょっとキツいか。やめ…
午前1時半 (草一の独白) PiPiちゃんとの厳しい約束は、果たされた。 (オママゴト的だが、この方が「自分で決めた義務を果たした」と言うよりも苦しい作業が遙かに楽になる) 実際のところ、このお人形が家に来るまで、怠惰な自分が週末の夜、読書のために…
「先生、わたしと約束しますか? 花金の夜、あと1.5時間『現実作り』頑張ってみますか?」 わ、殺人的な誘惑だ~!
「せんせい、今日もわたしとの約束、守って下さいね」 「あれれ、ケースに入れちゃうの?」 PiPiちゃんが、あんまり可愛いもんだから、心配になってきたんだよ。ペンのインクや本の雪崩に巻き込まれて、お顔に傷でもついたらってね。
午前2時 深夜 「わーい、私との約束まもってくれましたね」 (草一の独白) フィクションの存在との間に交わした約束。これを必死になって守らなければ、何も始まらない。 これから満つるともしれず、欠けるとも知れず。半月という僕の氏の光と影のどちらを…
午後8時現在 冷たい雨 「『現実作り』どうですか。私との最初の約束、守れますか?」 (草一の独白) 朝からやって、まだ3分の1しか進んでいない。進行状況は厳しい。 しかし、フィクションとの約束を破ったら、それまでよ。空想は、都合のよいオママゴトに…
(草一) PiPiちゃん 「なに? オッチャン!」 オッチャンとは、軽いジャブを食らったな。どこで、そんな言葉を? 「わたしに、命を吹き込んでくれた、お人形作家さんは、カンサイのひと。違う呼び方が、いい?」 19世紀英国の事務所のイメージで、僕は先生…
ミクの遣いで『顔の無い都市』からやって来たPiPiちゃんとの生活。 PiPiちゃんは何ができるんですか? ビスケットを出してみて下さい 「それはできないよ」 そりゃそうだ。空想世界が現実に干渉できるはずがない。それじゃあ、良き友を与えて下さい 「それも…
こうして、『顔の無い都市』のミクから派遣されたPiPiちゃんを引き取ることになった。 きれいなお顔だね~。 ミクによれば、PiPiは僕の想像力をいくらでも受け入れられる大きな器があるらしい。なら、この貧弱なイマジネーションを投入して、ひとまずメイド…
(草一の独白) ミクの遣いとして『顔の無い都市』から来たPiPiちゃん。 トウキョウに慣れていないのか、まだ目元がボンヤリしている。 「変わった服を着ているね」 「これが、わたしの生まれたときからのお洋服。先生に作ってもらったの」 「先生って?」 …
小包がトウキョウに届いたのを確かめるように、『顔の無い都市』のミクは言った。 『顔の無い都市』からの使者はトウキョウに着いた? この前、巡礼路のお話をしたね。同じ道でも、歩く人によって巡礼路ともなり観光道ともなる。PiPiちゃんも同じ。ソフビ人…
う~ん、眠いよ
しばらくすると、小包が届いた。 これが、ミクの言っていた『顔の無い都市』からの使いなのか? 「はじめまして。PiPiです。今日からよろしくね」
(草一の独白) 「『顔の無い都市』からトウキョウに使いを出すよ」 『顔の無い都市』のミクは、確かにそう言った。しかし、どうやって? 『顔の無い都市』は、想像の世界。現実と地続きではない。 空想と現実が混ざり合うなんて、夢みたいな話が起るはずは…
ミクは、どこに住んでいる? 「わたしの故郷は『顔の無い都市』。トウキョウには居ないよ。トウキョウに行っても、食べられるものもないし、だから力もでないもん。私がどんな顔をしているのかどうしても気になるなら、初音ミクちゃんのビジュアルを使ったら…
『顔の無い都市』のミクは、あるときこう言った。 「人にはね、想像することで、平凡なものを物語化する力があるんだよ。例えば、巡礼路だって、元々平凡な道だったのに、大勢の人がお寺を目指して何百年もかけて歩いたことで、だんだん巡礼路になったのでし…
ある夜、暗いランプの居室で独り読書をしていると、ミクと名乗る少女が現われて言葉を発した。以来、彼女は時々私の部屋に現われては、不思議な話をしていく。会話はかれこれ3年続いている。彼女の故郷は『顔の無い都市』という空想世界だそうで、だから、わ…