ミクの掟 その5
ミクの掟
~~夕食後は作業してはならない~~
お言葉に甘えて、昨日の夕食後は自由にしたが、何か違和感があった。
夕食後は作業(法律の『現実作り』)をしてはならない
→ やった~、自由だ!
→ 空白の2時間を何で埋めよう
① 黒い小人のパターン
→ ネットの無意味な政治ニュース等を眺め黒い小人達の流言に囚われ、自分自身が臓腑から黒い因果を吐き出し
→ 『顔の無い都市』を黒い因果で汚染する
② 『夕日の塔』のパターン
→ ネットショッピングで物欲に身を投じるか、酒か、あるいは…
→ 墓場に辿り着くまで盲目となる
※①②の時は、ミクのことをすっかり忘れてしまっている。黒い小人も『夕日の塔』もミクとは反対の領域に属するものらしい。
黒い小人や『夕日の塔』で時間の空白を埋めると、就寝前にとても嫌な空虚感を覚えるのだよ。そして、失った何かを取り戻そうとして、更に黒い小人達に耳を貸し、『夕日の塔』に耽溺する悪循環…。
翌日は、最悪の目覚めとなり、朝のうちからやる気を失っている。
「夕食後の自由時間といっても、空白を何で埋めるかは大切なんですね。ダラダラしたら、すぐに黒い小人達と『夕日の塔』と相澤先輩につけ込まれちゃう」
そうみたいだね。それにしても、ミクのお告げは、毎度毎度、不思議なことを考えさせるなあ。
「夕食後の自由時間が翌日の作業に影響するとなると、今日から何で空白を埋めたら良いのでしょうか?」
中途半端に法律の『現実作り』をしても、却って良くない。だいいち、それはミクに禁止されている。だから、法律以外のものを…
いつか『顔の無い都市』と『帝都』の物語を記述するときのために、空想を表現する方法を学ぶことにしよう。実は評判のいいシナリオゲームを仕入れたんだ。この業界はジャンル的な偏見もあるし(18禁)、構造不況だし(なかなか売れない)、著作権法違反(違法ダウンロード)も猛威を振るってる。そんな苦境にもめげず、本当に誠実に愛情をもって製作されているみたいだね。パッケージを開けた時に涙が出そうなくらい感動した。
「ひぃっ! せんせい、これってHなゲームですよ? 手を出したら『夕日の塔』に囚われるのでは…?」
ふふっ、名高い18禁ゲームは、欲望と創造の坩堝なんだ。欲望も創造もごった煮にされて、最後は、欲望が、創造の炎に焼かれて昇華する。名作といわれる18禁ゲームは、ほとんどの場合Hシーンは付録程度で、むしろ創造性が欲望を圧倒している。「18禁だから」といって無視するには、あまりにもったいないよ。夜に難しい小説を読むよりも、『穢翼のユースティア』を教科書にして、夢幻世界の表現方法を学んでみよう
「ふ~ん。Hな18禁ゲームなのに、『夕日の塔』に属さないなんて変なのぉ…。」
エロスにも、『夕日の塔』由来のものとミク由来のものがあるんだろうね。
「それじゃ、今日から夕食後の空白は、創作の『現実作り』で埋めることになりますね。でも、そんなに忙しくしたら、せんせいの精神力が耐えられるかしら…」