PiPiちゃんの唄
「せんせい、おはようございます。目覚めはいかがですか」
今日もまた酷い悪夢だった。時代は平安時代、場所は山奥で、優しくておとなしい姫が、悪い姫に襲われて太刀で首を切られるところで目が覚めた。最近、こんな夢ばかりだ。優しい姫は襲われた時ですらおとなしく、無言で抵抗したが、素手で太刀の刃を握ったから、真っ白な優しい手の平から血がにじみ、やがて薄い銀の刃がその穢れを知らぬ首に当たり、遂にやられてしまった…。まったく恐ろしい。起きてからどっと疲れがでた。
「せんせい、かわいそう…」
どうしたものか。
「『顔の無い都市』の領域の問題かもしれません。でも、変わらず『現実作り』をすることで、何かが変わるかもしれないよ」
なるほど。そういうもんかも知れないな。すっかり出遅れてしまったけど、とにかく今日も午前3時間、午後3時間の『現実作り』を達成しよう。
「そうそう。いつかきっといいことありますよ!
~~手で触れられぬ、霧のような現実よりも
つかみどころのない真実よりも
わたしたちの『現実』を創りましょう。
『現実』は、現実にあらず真実にあらず。
しょせん身勝手な幻想で
帝都の雑踏のなかでは、誰も拾わぬ無価値物だとしても
わが人生
この手で確かにつかめる『現実』にこそ捧げましょう
『現実作り』にこの人生を捧げましょう~~」