午後のコーヒーブレイク
(日々PiPiとの過酷な約束に追われる草一であるが、作業が一段落したらしく、リラックスした様子でコーヒーを飲んでいる)
「せんせい、何を熱心にご覧になってるんですか?」
この前、PiPiちゃんとの約束を守るため朝6時まで徹夜したことがあっただろう? あの時、感動して泣いちゃってるPiPiちゃんの写真だよ。
「泣いてなんかないよ! もう、写真撮るなんてひどい!!」
まあまあ。これを別の写真と重ねると、また面白い物語が生まれると思ってね。
(そう言うと、草一は一葉の写真をテーブルの上に置いた)
「砂漠…、の写真ですか…」
物欲の対象も食欲の対象もなく、人を憎悪に駆り立てたり不安に陥れたりする情報もない。ただあるのは自分だけ。
「でも、喉の渇きは癒やされません」
それさえ慣れてしまえば、静かだよ。それに…(草一、PiPiの写真も置く)
心の中の本当に大切な部分に耳を澄ますことができると思うんだ。PiPiくん、僕はこの写真に名前を付けようと思う。
「どんななまえ…?」
-『幼き聖母の扮装』,かな
「PiPiなんだかうれしいな。あれれ、可笑しいですね、PiPiはソフビ人形なのに」
フフ、さあ、今日の『現実作り』に戻ろうか。PiPiちゃん、為すべき『現実』のリストを調べてくれないか。
「はーい!」
チャンチャン♪
(おわり)