PiPiちゃんのお仕事

「せんせいの『現実作り』中は、微妙に目をそらします。目線を合わせると、せんせいはお仕事が手に付かなくなってしまうからです」
f:id:Hangetsu-Soichi:20140904233742j:plain
 
 
 
 
 
 
(深夜12時)
ふう、あと2時間で今日の『現実作り』は達成できる。夜食は抜きだ。あれで油断して、何度煮え湯を飲まされたことか。
 
 『現実作り』は、灰色の日常砂漠に生命の水をもたらす泉。ある種の人々は、コンクリートに覆われたトウキョウの日常では、根を張ることができず死んでしまう。
 心を枯らさないために、なにか方法があるのではないか。現代の舗装道路が、巡礼者には巡礼路に変化するように、トウキョウを『顔の無い都市』に異化する方法があるのではないか。そのための試案が、イマジネーションとの不断のパワーの交換である『現実作り』だ。
 
 この仮説を前提にすると、PiPi(即ち、イマジネーションの具現体。古人なら『天使』と呼んだかもしれない)と『現実作り』の契約を結び、それを不断に守ることが必要になる。これが成功しないことには、作業が異化のパワーを失って、元の冷めた日常作業に戻ってしまう。
 
 心をトウキョウの奴隷にしたくなければ、或いは誰の造った物とも知れぬ現実に支配されたくなければ、『現実作り』の巡礼路を歩けばいい。『現実作り』の巡礼路を歩きたければ、PiPiと交わした『現実作り』の約束を成功させ続ければいい。
 
 その意味では、PiPiちゃんは、姿こそ可愛いが、そんじょそこらの仏像以上に仏像的な役割を背負わされていることになるのかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(深夜2時半)
 
 
(和風だしのうどんが言った)
f:id:Hangetsu-Soichi:20140905024227j:plain
「うどんでも食べて休んではどうだ?  暖かい鰹ダシが五臓六腑を癒してくれるだろう」
 
久々に現れたな、白壁の悪魔よ。しかし、残念だったな。おぬしの誘惑に乗って、『現実作り』を残り1時間のところで失敗させるほど愚かではないわい。去るが良い。
(草一は『現実作り』に戻った。『現実作り』を成功させるには、不断の小誘惑を3秒で倒すことが重要である。幾度となく襲ってくる白壁の悪魔の誘惑のうち、半分以上勝つことを目指す。いままで「負けが主、勝ちが従」だった生活態度が、3戦中2勝以上になってくれば「勝ちが主、負けが従」になり、因果が変わり始める)
 
 
 
 
 
 ※『現実作り』(9月4日分):8時間 総合計355時間 借金-9時間