草月事務所 新しいPCを導入する
ジリジリ……
「う~む。むむっ………モグモグ、ペロペロ、ウマイウマイ….。」
「せんせい」
「なにしてらっしゃるんですか?」
お、PiPiちゃん。今日も暑いね。
これからの情報化社会に対応するため、当事務所も新しいパソコンを導入することにした。
「ふーん」
「あ、扇風機が見える」
これは扇風機じゃないよ。CPUクーラーと言ってね、この奥にあるPCの脳みそを冷やすんだ。
「猫おじさんの頭も冷やしてあげたいですね。うふふ」
「わあ、今度はおっきな穴が開いてる!」
ここはグラフィックボードだよ。3D性能を上げるための特殊装置で、発熱量が大きいから、ここから熱を逃がすんだ(下段右は電源)。
ただ、一番小さなグラボ(GTX750Ti)を乗せたから、中がスカスカになっちゃった。猫おじさんの頭みたいにスカスカなんて言ったら、怒るかな。プププッ!
「あ、せんせい酷い!」
「でもでも、そしたら左下に小さく見えてるグラボは、さしずめ猫おじさんの最大の関心事、『三ツ星ジュレ』ですね!」
違いない! 猫おじさんにとって、ほとんど三ツ星ジュレだけが人生の楽しみなんだから、ハハハ。
初期設定だけしてみたけど…
PCを置く場所を考えなきゃね。
「お疲れ様でした。メロンジュレの宝石箱、たべますか? 猫おじさんの分はないので、いまのうちに」
うん、おいしい!
「それはなんじゃ? ひょっとして、三ツ星ジュレの新製品かね?」
げっ、猫おじさん。いつの間に!!
「わしに内緒で、おいしいもんを食っておるのか? 動物虐待じゃぞ!」
「ソウイチ君、答えようによっては、わしはここで辞表を提出させてもらうよ!」
な、なんて恐ろしい顔…
!!!
や、嫌だなあ、猫おじさん。僕が『三ツ星ジュレ』なんか食べるわけないじゃないですか(猫のエサなんだから)。
あれは、猫おじさんだけが食べられる特別なディナーなんですから(猫のエサなんだから)。
「う、む…、そうか。君が分かってくれているなら良いが……」
大画面がやってきた
大きい画面はいいなあ。
プッハ~~ッ! PiPiちゃんを眺めながらのビールもまた格別かな。
「まあ、せんせい。ビールがおいしい季節だからって、飲み過ぎないでくださいね」
「いいな~、PiPiだけ大画面に映してもらって。不公平じゃぞ!」
「なによ~、しょうがないわね。じゃあ、これに変えてあげる」
「う~む。気持ちはうれしいんじゃが、もっと良い写真はないのかね? そもそも、扇風機が映っておるということは、去年のじゃないか!」
「細かいわね。なら、今日の写真よ。はいっ」
「なんで、いつも寝ておるんじゃっ!!」
「PiPiに聞かないでよぉ。なら、これでどう? 満足した?」
「おおっ! 良いではないか、良いではないか!! 最初から、こういうのを出さんか。これぞ、猫おじさん。飾らない、ありのままの姿じゃわい……」
最終大戦の会場をあとにして
のべ5日間に渡って死闘を繰り広げた会場を後にするよ…。
最終大戦の『帝都』第一会場では、2000名程のつわものが集いてあらそえり。
競技場(コロシアム)は全10室。各室はリノリウム床の殺風景な大広間なり。そこへ数百の成り上がらんとする者来たりて戦えり。何の因果か。半月草一に割り当てられた『第10室』だけは、他の会議室と異なり絨毯敷きで、まるで和風旅館のロビーのようである。瀟洒な間接照明といえば聞こえはいいが、照度が足らず問題文や六法を読むにはいささか暗い。
ただ、半月の隣は試合棄権者。長机を一人で占有できるのは有利だった。
最終大戦の5日間は、睡眠時間4時間で、特に最後のほうは即身仏にもなりかねない苛酷なものだった。
プッハーッ! 生ビールがうまい季節になりましたね。
これが、旨いんだ。『帝都』アキバハラ名物。門を閉ざしたラーメン食堂の醤油の一品。
ふぅ、ひぃ………。五日間の死闘で、思った以上に身体が蝕まれていたようだ。
もう、帰ろう。
ただいま。
「おう、ソウイチか」
おや、猫おじさん。今日は、やけにフレンドリーな表情ですね。
「では、伯爵風がいいかね?」
なぜ、2枚連続で?!
「それとも、かわいい系がお好みか」
「あるいは、昼寝系がいいかね?」
「ムニャムニャ、スヤスヤ、ウマイウマイ……」
「…………。あら、せんせい。帰っていらしたの? 気づきませんでした。すみません、テヘヘ…」
「うっ…」
「ほっとしたら、なんでだろう…。いやだわ」
「うまくいってると、いいですね……!」
昔の写真 ある半月草一との一日
「せんせい」
なんだい?
「何見てるんですか?」
PiPiちゃんがここへ来る前、故郷にいたころの写真だよ。
「わあー!」
とてちてとた先生が撮って下さったんだ。昨日、『顔の無い都市』から届いた。
「これが、あたし?」
この頃は、まだ他人だったんだね。メイド紹介所でリストを見たとき、こんな子がウチに来てくれたらと思ったものだが。本当に来てくれるとは、私は幸せものだ
「PiPi、まだ世俗をしらない顔してるかも…」
神秘的だね
「PiPiもせんせいのところへ来られてよかったです…」
ハハハ、これで最終大戦が終結して、草月事務所を開ければもっといいね。
「大丈夫ですよ、そんな日は、すぐに…あっ」
「いつもありがとう、PiPiちゃん」
「せんせい、それ素顔じゃ…!」
おっと、いけない。あとですぐに消しておくよ (コーホー…)
「もう、あわてんぼうなんだから…」
PiPiの秘密
「あのね…」
「えっと…、PiPiね。みんなには隠していた秘密があるの」
「それは…なんだね?」
「実は…、真横からみたPiPiの写真って、見せたことがないの」
「なん…じゃと?」
「だって、泣いてるときの写真が多いんだもん」
「でも、今日はうれしいことがあったので(草月事務所のことを『帝都新聞(フールさんのブログ)』(id:TheFool199485)が記事にしてくれたんだよ)、見せちゃおうかな~」
「これとか」
「これとか…」
「これとか」
「はっきりせんか! もうちょっと、わかりやすいのはないのかね?」
「じゃあ、これ!」
「ほう! 鼻が高いのう。まるで外国のお嬢さんのようじゃ」
「驚いた?」
「なるほど。PiPiのアニメ風の可愛いお鼻は、天使製造人様の絶妙な削りと光が織りなすバランスから生じていたんじゃな」
「ふふっ、今日はこれでおしまい。またね!」
半月草一の留守中、草月事務所では暇をもてあましたPiPiと猫おじさんが、他愛の無いやりとりを続けている。猫おじさんにとって、うるさい草一が居ないのは極楽である。
一方、半月草一は近所の山の洞窟に籠もり、更なる『現実作り』の深みに入ることを決意するのであった。
以後、2か月ほど草一の山ごもりは続く予定だという…
せんせいよりPiPiに打電…
こんば………、PiPi所員、い…るか……近況報告…を……行な………う…
「はい。受信しております。お久しぶりです。せんせい!」
せんせいより:
現在、前線は混戦の模様。戦況は思わしくないものの、少しながら改善がみられ、拮抗状態に入りつつある…。戦績シートを同封…す………
前回(ビフォー)
「ひぃ…」
今回(アフター)
「まあ! 白鷺道場は、採点者によって全然言うことが違うのね。一体、どっちを信じりゃいいのかしら」
せんせいより:
戦況…、緒戦は圧倒的敗退なりしも、状況は改善の兆し…、現在、勝敗均衡しつつ…、戦績は五分五分に押し……。このまま前線へ進む……あとのこ………、猫おじ……………エサ……よろし…く……み…す
チョコ……贈………。食べ…な…………さ…い。
「あっ、切れちゃった…」
「せんせい、がんばってね…」
折角なので。オープニング曲
ヒロインの真紅は一部の男性ファンから熱狂的に支持されています。私はまだやっていないのですが、きっと何がしか深層意識の底に住むアニマ(元型)的な要素を持っているのかもしれません…
グランド・エンディング曲
(小説型ゲームは、選択肢によって複数のエンディングがあるのですが、シナリオライターが最も力を入れた真のエンディングのことをグランド・エンディングと言ったりします)
それから、春なので
作業工程
「どれくらい進んだかしら」
作業工程表
折角なので。地中海を思わせる街が舞台。吸い込まれそうなエーゲ・ブルーがさわやかです。女性にもとても人気だそうです。
全年齢版。石畳の街の音楽院のお話。男性からも女性からも非常に人気・評価の高いお話です。
【前回更新時】
少し古い作品も、味わい深いものですね(2004年作品)
最近はPCの性能アップに伴い、髪や瞳が動く絵が現われてきました(2014年作品)
【前々回更新時】
(表世界)平和な日常も一皮むけば地獄世界…
(裏世界)噓が真に、真が噓に。人の意識の底の底、暗黒世界は存在する。闇から光を分かつのは、ただ愛だけか…!
(女の子が着ているのはボディースーツであって、裸というわけではありません。戦場では男女共同生活ゆえ、あらかじめ女性としての恥じらいを失わせるため、訓練生はこのようなスーツを日頃から身につけているのです)